「50年住宅ローン」続々と販売開始
若年層囲い込み 余剰資金、貸し出す狙い
全国的に住宅ローンの返済までの期間を最長50年に引き延ばす動きが広がってきました。
岩手では、岩手銀行・北日本銀行が取扱いを始めました。
50年ローンができた背景とそのメリットについて
1. 人口減少と住宅市場の変化
日本は長期的な人口減少と高齢化に直面しており、特に若い世代の購買力が低下しています。こうした状況では、住宅市場全体の需要が減少し、不動産価格の下落や住宅の供給過剰が懸念されていました。これに対応するため、住宅の購入を促進するための施策として、金融機関は返済期間を延ばす新たな商品を開発しました。
住宅価格が高騰している都市部では、従来の35年や40年の返済期間では多くの若者がローンを返済できないという問題も生じています。50年ローンは、毎月の返済額を抑え、より多くの人々が住宅を購入できるようにする手段として注目されています。
2. 低金利政策の影響
日本は長年、低金利政策を維持してきました。これにより、住宅ローン金利も非常に低い水準にありますが、それでも高額な住宅を購入する場合、従来のローン期間では毎月の返済額が負担となるケースが多くあります。50年ローンは、低金利を長期間にわたって活用することができ、毎月の返済額を大幅に減少させることが可能です。
また、低金利であれば、長期にわたるローンの総返済額が比較的抑えられるため、50年という長い期間でも返済負担がそこまで大きくならないという見通しが金融機関にもあり、この商品が提供されるに至ったと言えます。
3. 経済の不確実性と家計の圧力
現代では、経済の不確実性が高まり、労働市場の変動や景気の変動リスクが増えています。特に若年層の所得が安定していないため、将来の収入を見込んで短期間で高額の返済を行うことが困難になってきています。50年ローンは、より柔軟な返済計画を提供し、家計に与える圧力を和らげる効果があります。
50年ローンのメリット
毎月の返済額の軽減
最も大きなメリットは、毎月の返済額を大幅に減少させられる点です。たとえば、同じ借入額であっても返済期間を35年から50年に延ばすことで、毎月の支払いが減り、家計に余裕が生まれます。これにより、住宅購入がより手の届くものとなり、特に若年層にとって有利です。
より高額な物件へのアクセス
返済期間が長くなることで、借入可能額が増える可能性があります。これにより、より高額な物件や自分の理想の家を購入することができるようになります。特に都市部では、住宅価格が高騰しているため、50年ローンはこのようなニーズに応える手段となります。
インフレヘッジ効果
長期間にわたるローンでは、インフレの影響を受けやすくなりますが、逆に言えば、インフレによって将来の返済負担が軽減される可能性もあります。仮に将来的に物価や賃金が上昇すれば、現在の固定金利で借りたローンの実質的な負担が軽減されることになります。
※リスクとデメリット
もちろん、50年ローンにはリスクやデメリットも存在します。たとえば、返済期間が長くなることで、総返済額は従来のローンよりも増加します。また、途中で返済者が退職するなどして収入が減少するリスクもあります。このため、返済計画は慎重に立てる必要があります。
現状の経済状況であればおそらく普及するであろう
50年ローンの登場は、現代の経済的な背景や社会的な変化を反映したものです。特に人口減少や低金利、若年層の購買力低下に対応するため、住宅購入を促進する手段として導入されました。毎月の返済負担が軽減され、より多くの人々が理想の住宅を手に入れられるメリットがある一方で、長期間にわたるリスクも存在するため、個々の状況に応じた慎重な判断が求められます。
50年ローンを組んだ方の声
・35年ローン金利+0.15%で組めました。それほど高くなかった。
・35年ローンより月の支払いが約2万円低くなった。楽!
・35年ローンより利息総額は約110万円高くなる。当たり前ですね。
・賃貸だと12万5千円だが、自宅購入で約8万円で住めている。
・支払いが余裕なので金利上昇は気にならない。金利は誰も分からない。
・勿論、残債の減り具合は35年ローンより遅くなりますが、承知の上。
・月々の余剰金は自己投資に使っています。
・将来的には繰上げ返済or売却を想定しています。