分譲地購入のリスク⁉

分譲地購入の確認事項—知っておくべきリスクと注意点

住宅購入を検討する際、土地の立地や価格だけでなく、「道路の権利関係」にも注意が必要です。特に、分譲地内の道路が公道ではなく、宅地の所有者が共同で持分を持つ「共同所有型(持分共有型)」の私道の場合、トラブルの可能性が高まります。今回は、共同所有型私道のリスクと回避策についてお話します。

共同所有型(持分共有型)とは?

共同所有型の私道とは、一つの私道を複数の宅地所有者が持分割合を持って共有している形態です。私道は公道とは異なり、国や自治体ではなく、所有者自身が維持・管理を行う必要があります。

例えば、新しく開発された分譲地で10軒が並ぶ私道を共有している場合、その10軒の所有者が等しく持分を持ち、道路を管理することになります。

しかし、すべての所有者が同じ意識を持っているとは限らず、ここから様々なトラブルが生じるのです。

この場合、共有者全員の同意がなければ、道路の改修や売却などの重要な決定ができません。持分を持つ人が多いほど、意思決定が難しくなる傾向があります。

共同所有型私道の主なリスク

1. 維持管理の負担がある

私道の舗装や修繕、清掃、除雪などの管理費用は、所有者全員が負担するのが原則です。しかし、共有者の中には「お金を出したくない」と考える人もおり、結果的に一部の所有者に負担が偏ることもあります。

例えば、私道の舗装が老朽化し、修繕が必要になった場合、全員が均等に負担するのが理想です。しかし、「自分の家の前の道路はまだ使えるから払いたくない」と主張する人が出てくると、合意が取れず、修繕が進まない事態に陥ることも。

2. 意思決定がスムーズに進まない

私道の修繕や改良を行う場合、基本的に共有者の過半数の同意が必要です。しかし、全員の利害が一致するとは限らず、合意が得られないために道路の整備が進まないケースもあります。

例えば、「道路をアスファルト舗装に変えたい」という提案があったとしても、「今の砂利道のままで問題ない」と考える人がいれば、工事が進みません。また、「自分は持分が少ないから関係ない」と話し合い自体に参加しない人がいると、さらに決定が難しくなります。

3. 共有者が行方不明になる可能性

私道の持分を持っている共有者が相続などで変わると、新しい所有者と連絡が取れなくなることがあります。このような場合、道路の修繕や維持管理の話し合いができず、トラブルに発展することがあります。

例えば、元々の所有者が亡くなり、相続されたものの、新しい相続人がその土地に住んでおらず、持分があることすら認識していないケースもあります。こうなると、必要な決定を下すための同意が取れず、管理が困難になります。

4. ライフライン工事の承諾が必要

水道やガス、下水道などのライフラインを引き込むために私道を掘削する際は、共有者の許可が必要です。許可が得られなければ、工事ができず、設備を導入できない可能性があります。

また、水道管や下水の劣化や漏水などがあれば共有者全員で工事の負担がかかります👷

例えば、新たに家を建てる際にガス管を引こうとしたとき、私道の持分を持つ隣人が「掘削工事は迷惑だから反対だ」と言えば、工事がストップすることも。最悪の場合、裁判を経て許可を得る必要があります。

2023年4月の民法改正により、ライフライン工事の権利が明確になりましたが、共有者が承諾しない場合は裁判手続きが必要になるケースもあります。

トラブル回避のためにできること

1. 購入前に権利関係を確認する

購入予定の土地の前面道路が私道である場合、法務局で登記簿を確認し、所有者と持分割合を把握しましょう。また、近隣の住人にトラブルの有無を聞くのも有効です。

2. 共有者との良好な関係を築く

共有者同士で円滑なコミュニケーションを取ることが大切です。日頃から話し合える関係を築いておけば、問題が発生した際にも円満に解決できる可能性が高まります。

3. 問題が発生したら専門家に相談

トラブルが発生しそうな場合は、早めに弁護士に相談するのが得策です。私道の共有問題は法律が絡む複雑なケースが多いため、専門家のアドバイスを受けることで適切な対策を講じることができます。

まとめ—リスクを承知の上で購入を

共同所有型の私道は、管理や維持に関するトラブルが発生しやすい特徴があります。購入する際は、共有者間のルールや権利関係をしっかり確認し、将来的なリスクを考慮したうえで決断することが重要です。

「知らなかった!」では済まされない問題も多いため、しっかりと準備をして、納得のいく住宅購入を進めましょう。