2/11の日経新聞より📰
原料の「ラミナ」は3四半期連続で下落⤵
「ラミナ」とは、集成材を構成している挽き板や小角材ピースのことです。
住宅に使う国産集成材の値下がりが止まらない。2月時点の流通価格は2022年前半の過去最高値に比べて4割安く、1年8カ月ぶりの安値に沈む。住宅着工が落ち込んでいるため、21年の木材不足を受けて商社などが積み上げた在庫の消化が遅い。欧州産の原料価格も下落基調にあり、値下がりは今後も続く可能性がある。
東京地区の問屋卸価格は、住宅の梁(はり)に使う集成平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)が1立方メートルあたり9万5000円(中心値)。1月に比べ1万円(10%)下がった。21年10月~22年6月につけていた最高値の15万円に比べて37%安い。
柱に使う集成管柱(3メートル×10.5センチ角)も1本3100円と、1月に比べ200円(6%)下がり、22年8月までの高値に比べて44%安い。集成平角、集成管柱ともに21年6月以来の安値だ。
値下がりの主因は需要の鈍化だ。国土交通省によると、22年4~12月の新設住宅着工戸数は前年同期に比べて1%減った。特に持ち家は同13%減と大きく落ちこんだ。資材高による住宅価格の上昇などが響いているとみられる。
国内では輸入集成材の在庫が積み上がっている。
きっかけは米国を震源地とする21年の「ウッドショック」だ。超低金利や新型コロナウイルス下の在宅勤務で住宅需要が増え、世界的に木材の不足感が強まった。22年2月以降のウクライナ危機もあり、調達に危機感を抱いた木材商社などは積極的に輸入を増やした。
林野庁によると、住宅に使う構造用集成材の22年の輸入量は約90万立方メートルと、前年比で9%増えた。海外からの調達が増えた一方で国内の需要は鈍ったため、港湾や問屋の在庫が膨らんだ。
金利上昇によるウッドショックの収束で集成材の原料となる引き板材「ラミナ」の価格も下がっている。主力の欧州産の1~3月期の対日価格は梁向けが1立方メートル270ユーロ前後と前四半期に比べ30ユーロ(10%)安い。3四半期連続の値下がりで直近の高値だった22年4~6月期の半値以下だ。
欧州産ラミナの価格は、品薄懸念を受けて21年後半から高値が続いていた。集成材メーカーの担当者は、1~3月期の対日価格について「国内の需要が鈍いため数量の提示ができず、交渉がまとまるまで時間がかかった」と指摘する。
欧州では採算悪化を背景にラミナ減産の動きも目立つ。22年末時点で、通常時に比べて2~3割生産を抑えた工場もあったようだ。ただ現在国内で流通している集成材は、これまでに輸入した原料を使った製品が多い。今回値下げが決まった原料も、おおむね4月以降に入港が進む。
市場では「国内で集成材の在庫消化を急ぐ企業が価格を下げて売る動きが増えそうだ」との指摘もある。今後も流通価格が下がる可能性がある。
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