電気料金過去最高⤴

電気料金過去最高を更新⤴ “取られる”お金は過去最高を更新しなくて良いんだけど…

我が家の電気代どこまで上がる 価格の仕組みイチから (日本経済新聞1/26)

電気料金が高騰しています。

 ツイッターなどでも、1月の電気代の高さに驚く投稿が相次いでいます。なぜ電気代が上がっているのでしょうか。そしてこれからどうなるのでしょう。

 1月の電気代は過去最高に!
電気料金はどれぐらい上がっているのでしょうか。東京電力ホールディングスが平均的な家庭の使用量としている「標準料金」で見てみましょう。1月の標準料金は月1万1222円でした。これは2022年1月の1.5倍で、過去最高になりました。

【1月の標準的な家庭の電気料金】
(東京電力の「スタンダードS」で30アンペア、260キロワット時の場合)
6370円(2021年)→7683円(2022年)→1万1222円(2023年)
1月の電気代が過去最高 東電自由料金、家計圧迫さらに
2月はどうなるのでしょうか。下のグラフを見てください。電気代は2月から大きく下がります。これは2月以降、高騰する電気代の負担を軽くするため、政府が2割程度の補助を出すからです。そのお金を使って電力会社が値引きします。

電気料金は過去最高

 新電力も対象です。消費者が手続きする必要はありません。値下げの幅は1キロワット時あたり7円です。標準料金だと1610〜1820円下がる計算になります。この負担軽減策は10月まで実施される見通しですが、その後は未定です。

 6月も電気代が値上がり
もうひとつ、このグラフで注目点があります。6月に再び電気代が大きく跳ね上がります。

東京電力などの電力大手は、燃料費の高騰が続いて業績が悪化しています。このままでは電力の安定供給がしづらくなってしまいます。そのため、料金の値上げを経済産業省に申請しました。

・東京電力、家庭料金3割値上げ申請 燃料高で大手6社目
・北海道電力、家庭料金6月から34.87%上げ 経産省に申請
東京電力の値上げ申請は東日本大震災後の2012年以来、11年ぶりになります。

東京電力の場合、申請した値上げの幅は平均29.3%です。そして値上げをする時期は6月です。実際の値上げ幅と時期は、経済産業省の審議会で「本当にその料金が妥当か」などを検証した上で決まります。

 値引き分を引いても高く
東京電力の申請によると、「従量電灯B」というプランの標準料金は6月に1万1737円になります。これは1月の標準料金より2611円高くなります。

【想定される標準的な家庭の電気料金】(東京電力の「従量電灯B」)
9126円(1月)→9917円(6月、値引き分含む)
政府の負担軽減の補助分を引いても、標準料金は9917円となります。そのため、電気料金のグラフは、6月に大きく上がっているのです。

 業績が厳しいのは原子力発電所の再稼働が遅れる電力会社や、経営体力の小さい電力会社です。北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の6社も、2022年11月以降に3〜4割前後の値上げを申請しました。

 東京電力などは、なぜ値上げするのに政府に申請しなければならないのでしょうか。それを知るためには、電気料金の仕組みを見ていく必要があります。

 「規制料金」と「自由料金」
電気料金は価格を変えるのに国の審査が必要な「規制料金」と、電力会社が自由に値段を決められる「自由料金」があります。検針票や電力会社からの請求書を確認してみましょう。「従量電灯B」などと表示してあれば規制料金です。

 都市ガスと合わせて契約すると割引きになる「セット割」や、2016年の電力自由化後に契約したメニューは自由料金の可能性が高いです。新電力との契約も自由料金です。

 規制料金も自由料金も「燃料費調整制度(燃調)」と呼ばれる制度によって、電力会社は調達した液化天然ガス(LNG)と原油、石炭の価格を自動で価格に反映できます。毎月の電気料金には、3〜5カ月前の燃料価格が反映されています。

 燃料価格、2022年に高騰
下のグラフのように、2022年は資源価格が大きく上がりました。ロシアによるウクライナ侵攻や円安が要因です。2022年12月のLNG輸入価格は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月に比べて2.5倍、石炭も5倍になっています。

燃料の輸入価格は2022年に上昇

 2022年後半から燃料の輸入価格は下落傾向になっています。けれどもいま電気代が高騰しているのは、3〜5カ月前の最も高い時期の燃料価格が反映されているからです。

東京電力の代表的な自由料金メニュー「スタンダードS」の標準料金が1月、1万1222円にも上昇したのは、こういう理由があったのです。

 規制料金は値上げに上限
一方の規制料金は消費者保護のため、燃料価格を転嫁できる上限が設けられています。東京電力は2022年9月に上限に達しました。上限に達すると料金をそれ以上上げられません。上限を超えた分の燃料費は電力会社が負担することになります。

 東京電力の規制料金「従量電灯B」の標準料金は2021年ごろから上がった後、2022年9月から2023年1月まで、9126円の上限に張り付いています。電力大手10社は2022年10月までに、全社が上限に達しています。

 このままの状態だと、電力大手は赤字が続いてしまいます。そのため、「上限価格を引き上げたい」と国に申請したのです。

 上昇する「燃料費調整額」
電気代の領収証などを見ると、「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」などの項目があります。上昇が目立つのが「燃料費調整額」です。高騰する燃料価格を反映している項目です。

【電気料金は複数の項目で構成される】
・基本料金 毎月の決まった料金
・電気量料金 使用量に応じた料金
・燃料費調整額 燃料の価格を反映した料金
・再エネ賦課金 再生可能エネルギーの導入支援原資

 燃料費調整額は、火力発電や水力発電など各電力会社の電源構成から「基準価格」と呼ばれる価格を事前に決めます。これを燃料の価格が上回ると、1キロワット時あたりの「燃料費調整単価」をプラス、下回るとマイナスの価格にします。

 燃料費安ければマイナスも
この燃料費調整単価に電力使用量を掛けたものが燃料費調整額になります。燃料費が安かった2021年ごろまでは燃料費調整額がマイナスで、電気料金の引き下げにつながっていました。

【東京電力の場合】(「平均燃料価格」は原油換算で1キロリットルあたり)
・3カ月間の平均燃料価格が4万4200円超→2カ月後の燃料費調整額がプラス
・3カ月間の平均燃料価格が4万4200円未満→2カ月後の燃料費調整額がマイナス
東電の燃料費調整額による影響額は、自由料金の「スタンダードS」の場合、1月で3300円超でした。2022年1月はマイナス130円程度だったので、3500円程度値上がりしたことになります。

規制料金の場合は燃料費を反映できる上限があります、そのため少なくとも上限が引き上げられる6月までは、プラス1300円程度以上には増えません。

 「再エネ賦課金」も年約1万円
「再エネ賦課金」の項目は、正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と呼びます。陽光発電や風力発電で発電した電力の導入を促す補助金の原資となります。毎月の電気料金に上乗せされています。

上昇する再エネ賦課金

価格は第三者委員会の意見をもとに経済産業省が毎年度、見直しています。

2022年5月から2023年4月までは1キロワット時当たり3.45円です。標準家庭の電力使用量で算出すると、897円になります。燃料費ほどの影響はありませんが、年間1万円以上、電気料金を押し上げていることになります。

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